母は二次元に恋をする
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らいだったりみかだったり

Author:らいだったりみかだったり
ドクターストップかかって現在断酒中。
鎖骨がきれいな眼鏡男子が好き(二次元に限る)。
よく勘違いされるが腐ではない。

好きなゲームはFEシリーズ、英雄伝説シリーズとかなんか色々。
最近は主にコミPo!でマンガ作って遊んでます。



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閃の軌跡



閃の軌跡Ⅱ



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過去 後編
義行の過去の恋愛話の後編です。



次の週の日曜日。
俺は彼女の家のインターホンを鳴らした。
「はい。」
彼女の声だった。
「伊東です。」
「はい!今開けるね!」
彼女の高揚したような声が聞こえた。

程なくして、ドアが開き、彼女が出た。
「いらっしゃい!上がって!」
彼女は満面の笑みだった。
「お邪魔します。」
俺は彼女の家に入った。
「ご家族は?」
さすがに挨拶なしで彼女の部屋に入るわけにもいかない。
俺は彼女に聞いた。
「あ、今日は誰もいないの・・・。」
彼女は俯いて言った。
「ああ、そう。」
俺はほんの少し安堵した。
とりあえず、「ご両親にご挨拶」は避けることができた。

「あ、これ。よかったら。」
俺は朝焼いたシュークリームを差し出した。
「え?これ、ひょっとして、義行くんが作ったの?」
彼女は袋の中を覗いて言った。
「ああ。口に合うかわかんないけど。」
「お菓子も作れるんだ・・・。」
「妹があれ食いたいこれ食いたいってうるさくてね。ま、おかげで料理も上達したんだけどさ。」
俺は苦笑した。
「義行くん、妹いるの?」
彼女は意外そうに言った。
「あれ?言ってなかったっけ?」
「うん・・・。聞いてない・・・。」
彼女は俯いた。
「私、義行くんのこと何も知らないんだね・・・」

何を今更。
俺なんて、もっと君のことを知らない。
そして、知る努力さえしていない。


彼女に促され、彼女の部屋に入る。
「適当に座ってて。お茶いれるね。」
彼女はそう言って、部屋を出て行った。
俺は床に座り、部屋を見回した。
女の子らしい部屋だった。
慣れないその場所は、俺にはひどく居心地悪く感じた。

お茶を持って来た彼女と、いつものように取り留めのない話をする。
彼女が笑うと、俺はほっとする。
嬉しいと言うよりも、これでいいんだ、という思いのほうが強かった。
俺のすぐ隣に座る彼女は笑とは違う、甘い香りがした。

「義行くん、コンタクトにしないの?」
俺の顔をまじまじと見つめていた彼女が、突然聞いた。
「ああ、面倒くさくて。持ってはいるんだけど・・・。」
「ねえ、ちょっとメガネはずしてみて。」
彼女は俺のメガネに手を伸ばした。
「やだ。」
俺は上半身を後ろに傾け、逃げる。
「なんで?ね、お願い。ちょっとだけ。」
俺の返事も待たずに、彼女は俺のメガネをはずした。
笑にしても彼女にしても、どうして女っていうのはこう強引なんだろう。
「やめろって。返せよ。」
俺はメガネを取り返そうと、手を伸ばす。
「メガネないと、全然見えないの?」
「当たり前だろ。」
「私も?」
「これだけ近ければ少しは見えるよ。いいから、返せよ。」
「じゃあ、キスして。」
彼女が上目遣いで言う。
俺はやれやれとため息をつく。
俺は彼女の唇に軽くキスをして、すぐに放した。
そうすると、彼女は不服そうに言った。
「そうじゃなくて・・・。もっと、ちゃんと、して・・・。」
彼女は俺に顔を向け、目を閉じた。

俺は彼女の頬に触れ、もう一度キスをする。
彼女の口に舌を入れ、彼女の舌に絡めると、彼女は吐息を漏らす。
彼女は両手を俺の首に回した。
俺は、彼女の背中に手を回し、彼女の髪をなでた。
柔らかい髪が、指に絡みつく。

唇を放すと、彼女は潤んだ目で俺を見つめた。
その目は、もっと先のことを求めていた。
俺は、その目に抗うことができなかった。
俺は、彼女の頭をかばいながら彼女を床に倒し、その上に覆い被さった。

仰向けになった彼女は、俺の目を見て言った。
「・・・・ねえ。義行くん。私のこと、・・・・・好き?」

彼女の疑問形は、どうしてこんなに俺を縛り付けるのだろう。

「・・・・好きだよ。」

この状況で、他に何が言える?



家に帰っても、食欲が湧かず、母さんに飯はいらないと言って、俺は部屋に篭り、ベッドに寝転がった。

彼女の唇。
彼女の声。
彼女の髪。
彼女の肌。
彼女の体温。

それらを思い出すほど、俺は罪悪感に襲われた。

理由はわかっている。
俺は、彼女が好きだと自信を持って言えない。

好きかどうかもわからない女の子と付き合って。
好きかどうかもわからない女の子にキスをして。
好きかどうかもわからない女の子を抱いてしまった。

俺はどこまで最低なのだろう。

彼女はこんなにも、俺を想ってくれているのに。

俺は、それに答えることができない。



「お兄ちゃーん!!起きて!!今日は私とデートの約束でしょ!!」
次の日曜日。
朝っぱらから笑は、寝ている俺にまたがり、布団の上から俺をボスボスと叩いた。
「っんだよ。まだいいだろ。」
「早く!!アイスクリーム!!並ばないと買えないんだって!!」
「うるせぇな。」
俺は体を起こし、メガネをかけた。
笑は、俺から降りると、勝手にクローゼットを開け、俺の服を出し、ベッドの上に放り投げた。
俺は笑の後姿を見つめ、ため息をついた。


笑は俺の腕にしがみつく。
「お前なあ。中学生にもなって兄貴と腕組むとか、恥ずかしくないのかよ。」
俺が呆れながら言うと、笑は口を尖らせた。
「なによ。こんなにかわいい妹と腕組めてうれしくないの?」
自分で言ってりゃ世話ない。
俺はため息をついた。

駅で切符を買い、改札に向かおうとしたところで、俺たちを見つめ、呆然と立ち尽くしている女の子と目が合った。
彼女だった。
「あ・・・。」
俺は小さく声を出した。
彼女は目を見開き、固まっていた。
「何?どうしたの?」
笑は俺の顔を覗き込んだ。

「おはよう。どっか出かけるの?」
俺は彼女に歩みより、声をかけた。
彼女は顔をこわばらせていた。
「あ、うん・・・。友達と買い物に・・・。あの・・・。」
彼女は笑に視線を移し、また俺に視線を戻した。
女の子が腕にしがみついていれば誤解されても仕方ない。
「ああ、妹。」
俺は彼女に微笑みかけようとしたが、引きつった笑いを向けることしかできなかった。
彼女の言いたいことは嫌と言うほどよくわかる。
どこの世界に高校生にもなって妹と腕を組んで歩く男がいるというのか。
「え?あ、そう・・・。あの・・・。はじめまして・・・。」
彼女はひきつった笑顔で笑に会釈した。
笑はふてくされた顔で、彼女から目をそむけた。
「ほら、笑、挨拶くらいしろよ。」
俺は笑に促した。
「・・・・こんにちは。」
笑は外面がよく、俺の友達にも普段なら愛想がいいのに、彼女に対しては敵対心を露にした目で睨みつけていた。
「あ、こ、こんにちは・・・。」
彼女はたじろいでいた。
「そんなことより、もう行こうよ!!」
笑は俺の腕を引っ張り、改札に向かった。
「ちょっ!待てよ!引っ張るなよ!」
俺は声を荒げたが、笑は無視して引きずるように俺の腕を引っ張った。
「ごめん!また明日!」
俺は彼女の方を振り返り、手を振った。
彼女も手を振ったが、笑顔は引きつっていた。


1日中、笑のわがままに付き合わされた俺は、部屋に戻ると、ぐったりとベッドに倒れこんだ。
だが、俺にはやらなきゃいけないことが残っていた。
俺は、携帯を手に取った。
今朝の妹の非礼はさすがに詫びなければならないだろう。
携帯を開いて、俺は固まった。

俺は彼女の携帯番号を知らない・・・。
そもそも、彼女が携帯を持っているかどうかも知らない。
彼女との共通の友人もいないし、クラスも違うから、連絡先もわからない。

こんなんで付き合っていると言えるのだろうか。



その日から、笑のわがままは前にも増してひどくなっていった。
土日はどこかに連れて行けだの、勉強を見ろだのと言って、俺が一人で外出することを許さなかった。
両親はもちろん、友達さえだめで、俺じゃなければいけない。
平日も、彼女を送った後は、走って帰らなければ、笑はふてくされた。
ひどいときには部屋に篭って、飯も食わなかった。
両親も、あまりに笑のわがままがひどいため、何度か笑を叱ったが、火に油を注ぐだけだった。
両親は俺に謝りつつも、どうすることもできず、俺に笑を押し付けた。


「いつも、そうやって誤魔化すのね・・・。」
帰り際、彼女にキスをしようとすると、彼女がそう言った。

彼女が言いたいことはよくわかっている。
これだけ妹を優先させていれば、彼女だって気分がいいわけがない。
俺は彼女の肩に置いた手を離し、彼女から少し距離を取った。

「いつまで、こんなことが続くの?」
彼女は泣きそうな声で言った。
「・・・ごめん。」
俺は俯いた。
他に言える言葉が見つからなかった。
「どうして?私より妹さんの方が大事なの?」
彼女の問いに、俺は首を振った。

はっきり言ってしまえば、俺にとってはどちらも大事でもなんでもない。
ただ、笑の方が一緒にいる時間が長いから、機嫌を損ねると面倒くさいだけなんだ。

俺にとって、一番大事なのは俺自身なんだ。
二人とも、一体俺に何を期待しているんだ?
俺はそれに答えられる器なんて持ち合わせていないのに。

「俺には、俺のペースがあって、やりたいことがあって、やらなきゃいけないことがあって。・・・それを崩すことはできない。それが、君を傷つけることになるのなら、俺は・・・。」
俺は彼女の目を見てゆっくりと話した。
「俺は、これからも君を傷つけることになってしまうと思う。」
俺は彼女に頭を下げた。
「ごめん。」

彼女はしばらく黙っていた。
顔を上げると、彼女は両目から涙をこぼしていた。

彼女はとても綺麗だった。
俺なんかにはもったいないくらいの人だった。
だからこそ、俺なんかより、もっと、彼女を大切にしてくれる人を探して欲しいと思った。

「ごめん・・・。」
俺はもう一度言った。
彼女は口を開いた。
「さよなら」
彼女は嗚咽を漏らしながら、家に入っていった。

彼女の姿を見送ると、俺はそのまま、家に向かって歩き出した。
今日くらい、ゆっくり歩いて帰ったっていいだろう。


彼女の言葉を聞いたとき、寂しいとかそういう感情は全く湧かなかった。
俺の中に残ったのは、やっと解放されたと言う安堵だった。

彼女からも、笑からも。



ここのところ、ずっと自分のために時間を使うことができなかった。
明日は学校帰りに久しぶりにゲーセンに行って、格ゲーをやろう。
腕もすっかり鈍っているだろうけど、仕方ない。
その後は本屋に寄って、バイク雑誌を立ち読みして、小説も1冊くらい買おう。


もう、俺を縛り付けるものは何もないんだから。




「それでさー、サクラちゃんがもうかわいくってさー。」
昼休みの教室で、友人の穂積龍之介が口元を緩めて言った。
穂積は恋人のサクラちゃんの話をすると、とにかく顔が崩れる。
だまってりゃいい男なのに。

こんなことを言うと変だと思われるかもしれないが、俺は穂積の惚気を聞くのが好きだった。
少なくとも、俺ができない、「一人の女を愛し、幸せにする」ということができる。
そんな穂積を、俺は尊敬していた。
織田や隆にどんなにからかわれても、真っ直ぐな瞳で「サクラちゃんを愛している」と言える穂積は、男の俺から見てもかっこいいと思えた。
きっと、織田や隆も、俺と同じ気持ちだから、わざと穂積をからかうのだろう。


彼女と出会う前に、穂積に出会っていたら、俺は自分の間違いに気づけたのかもしれない。
そうすれば、彼女を傷つけることもなかったのかもしれない。

こんなこと、今更思っても仕方ない。


いつだったか、何かの本で読んだ。
好きの反対は無関心だと。
嫌いになれる人は好きになれるけど、無関心な人は嫌いにさえなれないと。
俺は、彼女を好きになることも、嫌いになることもできなかった。



俺にもいつか、できるだろうか。
穂積にとってのサクラちゃんのように。
誰に妨害されても、誰に何を言われても、守ってやりたいと思える人が。
何よりも優先させたいと思える人が。
真っ直ぐに、目を見て「愛している」と自信を持って言える人が。


-おわり-

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
しかもめちゃくちゃ長いし。

夫に彼女ができると、飼い犬が態度を変えたという話を聞いて、こんな話が思いつきました。
あと、朝と夜の犬の散歩があるから、彼女ができてもあんまり時間が作れなかったらしいです。



余談ですが、私は舌が異常に長いそうです。
なので、分身である義行も舌が長いです。
顎まで届きます。
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コメント
No title
読みました!長編お疲れ様です!
ヨシくん、早く本当に好きな人が出来たらいいな!と思いました・・・
誰かを好きになる喜びを知ってほしいなぁと

笑ちゃんのわがままップリがものすごかったです
これは確かに機嫌を損ねたら大変・・・
好きな人ができたらか、もうそこまでブラコンじゃなくなったのかな・・・あ、でもヨシくんは複雑かぁ・・・

お互いのことを知らないのに、お付き合いは大変
その人を知ろうと思わなければどうにも関係が発展しないし
だからって相手を知ったからといって、好きになれるとも限らないし
恋愛って難しいなぁとちょっと思っちゃいました。
[2009/09/14 21:58] URL | サクラサル #- [ 編集 ]

>サクラサルさん
こんな長文読んでくださり、ありがとうございます。
でも、ちょっと書いてて楽しかったです。
思春期の男の子の不器用さや、悩みって書いてて楽しいなーと思います。

笑は両親がほとんど家にいないため、兄に対しての独占欲は半端じゃないと思います。
兄に彼女ができるなんて、父親が後妻連れてくるくらいきついことだと思います。
まあ、今は隆君のことが好きなので、そこまで兄に構っていられなくなっていると思います。
そして、義行は花嫁の父みたいな気持ちになっているのでしょう(笑)

恋愛はバランスと、タイミングで成り立ってますよね。
相手のことを思いやらなければ、相手も自分のことを思いやってはくれない。
でも、相手が自分を思いやってくれなければ、自分も相手を思いやることはできない。
いい年になると、わかりますが、思春期のころって突っ走っちゃっててそういうことが理解できないんですよね。

義行にも好きな女の子はできるんでしょうかねー。
[2009/09/14 22:32] URL | みか #- [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2009/09/15 10:32] | # [ 編集 ]

No title
長編お疲れさまでした。

人を好きになる感情って、人によってそれぞれだし
教えてもらうモノでは無いから、難しいですよね。
好きの反対は無関心って、私も聴いた事あります。
まさにそうですよね。 
リヒトもそういう感じで描こうかと思ってたんです(若干)

笑ちゃんみたいな妹がいたら大変だ・・・可愛いけど大変だ・・・!
ガンバレ!メガネーーー!!

伊東くんの人となりが少し見えて嬉しかったです^^
ありがとうございました。
[2009/09/15 13:38] URL | エリカ #- [ 編集 ]

ユキちゃんっぽい
ヒドイやつって思いませんでしたよ?
うん、普通だと思います。
葛藤とか思いがね、ユキちゃんっぽかったです。
やっぱ、みかさんはうまいなあ。
こういうリアルなSSがホントにうまい。

龍之介の悲恋SSが大きくなりつつあります。
まあ、これは色々と終わってからゆっくり書こうと思いますが。


ユキちゃんにも好きな人が出来ますように。

毎日、龍之介と一緒に祈ってますね。
SSありがとうございました。
案外、ユキちゃんは遅咲きっぽいですよね。
高校3年生後半か大学とか行ってからとか・・・・・
笑ちゃんの解放と共にみたいな・・・?
[2009/09/15 14:05] URL | あくあ #GeIIq2NY [ 編集 ]

>エリカさん
お読みいただきありがとうございます。

思春期の恋愛はむずかしいですよね。
まあ、それだからこそ悩むし、そしてまた充実もするのでしょう。
なんとなく、義行は妹の面倒を見すぎていて、女の子に恋をするという感情が人より鈍いんじゃないかと思います。
だから、付き合ったら流されてーみたいなかんじかなーと思ってこんな話にしてみました。

笑は、性格は下の娘と、夫の愛犬がモデルです。
なので、非情に子供っぽくなっております。
ちなみに、モデルが姉なので、実はスタイルはめちゃくちゃいいです。
[2009/09/15 14:09] URL | みか #- [ 編集 ]

>あくあさん
お読みいただきありがとうございました。

えー。
ひどくないですかー?
彼女より妹優先させちゃうんですよー?

義行は恋愛に対してあこがれもないし、なんかよくわかってないような気がするんですよね。
相手ができればいいんですけど・・・。
恋をする義行が逆に想像つきません。
案外マメなタイプじゃないんですよ(笑)

穂積くんの恋愛話も楽しみにしてますねー。
[2009/09/15 14:28] URL | みか #- [ 編集 ]


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