母は二次元に恋をする
様々な現実から目をそむける為の妄想ブログ
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らいだったりみかだったり

Author:らいだったりみかだったり
ドクターストップかかって現在断酒中。
鎖骨がきれいな眼鏡男子が好き(二次元に限る)。
よく勘違いされるが腐ではない。

好きなゲームはFEシリーズ、英雄伝説シリーズとかなんか色々。
最近は主にコミPo!でマンガ作って遊んでます。



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閃の軌跡



閃の軌跡Ⅱ



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まだ予約さえしていない
夫が帰ってくるなり大慌てで「みかちゃん!!まさかときめきメモリアルのプラチナなんとかいうやつ予約してないよね!?」と言った。
なんでも仕事でコ○ミに行って、そんな情報を拾ってきたらしい。
ものすっごい金額にびっくりして、不安になったそうだ。
信用ねーな。
そもそも予約してないし。
通常版しか買わないよ。
別に付属品とかそんなに興味ないもん。


R18のSSが全く進まず。
ちょっと前に、ファイルごと消したSSをもう一回練り直してみたですよ。
が、やっぱり途中で止まってしまい、放置していたんですが、気晴らしに書き始めてみたら完成してしまいました。


そしてやっぱりR18は進まず。
頭とケツは出来てるのだが、真ん中がねー。
恥ずかしいってわけじゃない、と思うんだけど、私の表現力が乏しくて・・・・。


と、言うわけで、R18ではありませんが、よければどうぞ。



俺、伊東義行の彼女、皆川弥生は手芸の類が好きだ。
弥生の家に遊びに行くと、必ず何かを作っている。
服だったり、雑貨だったり。
自分の物はもちろん、友達に頼まれて作ったりもしているらしい。

時々自分に作ってくれないだろうか、なんて期待をしたりもするが、「材料費払ってくれるならなんでも作るよ。」と言われてしまう。
そういう意味じゃない、と言うことがいまいち理解してもらえない。
好きな人の手で、気持ちをこめて作ってくれた物だからほしいのに。
変なところで鈍感なのだ。


今日も弥生は2本の棒と毛糸を動かし、何かを編んでいた。
真剣な目で、なにやらぶつぶつと数を数えている。
俺はそんな弥生をうしろから抱きしめ、その指を見つめていた。

器用に動く弥生の細い指を見ているのが、俺は好きだ。
たった一本の毛糸が、弥生の手で形になっていく。
自分にはできないことだから、素直に尊敬する。

いつも大体女の子らしい淡い色が多いが、今日は珍しく濃紺の毛糸を編んでいた。
まあ、女の子だって濃い色の物を身に付ける人はいくらでもいるだろう。
だけど、なんとなく期待してしまう。

誕生日も近いし、ひょっとしたら。


「どうしたの?機嫌いいね。」
突然、弥生が振り返った。
俺は慌てて緩んだ口をきつく結んだ。
「そ、そうか?別に、普通だと思うけど・・・・・。」
「なにかいいことあったの?」
「いや、特にないけど?」
「そう?何か隠してない?」
弥生は勘繰るように俺の顔を覗き込んだ。
「いや、何もないって。」
俺は首を振った。
俺はどうにも感情がすぐに顔に出てしまう。
弥生は俺に疑いの目を向けたが、また手元に目を移すと、手を動かし始めた。
俺はほっとため息をついた。


勝手に期待してにやけていたなんて
恥ずかしくて言える筈がない。



「お兄ちゃん。もうすぐ誕生日だね。」
晩飯を食べていると、妹の笑が言った。
「あ?ああ。そうだな。」
「今年こそ、私がご馳走作るよ!!」
「いや、いらない。」
「えー。私だってお兄ちゃんのために何かしたいよ!」
「気持ちだけ受け取っておく。」
俺がそう言うと、笑はふてくされたような顔をした。

笑は料理ができない。
まあ、俺が邪魔だと言って厨房に立たせなかったのがいけないのだが。
そのくせ、一丁前にやりたい気持ちばかりが先走り、基本もできないくせに、上級者料理に手を出そうとする。
俺と幼馴染の士奈尚也はいつもその失敗料理を食わされる羽目になるのだ。

「俺に何かしてくれるなら、料理以外にしてくれ。」
「それじゃ、私が料理下手みたいないいかたじゃない。」
「みたい、じゃない。そのまんまだ。」
「それひどくない?」
「あんな料理を平気で人に食わすお前の方がよっぽどひどいだろ。」
「なにそれ!!どういう意味!?」
「他に意味があるように聞こえるか?」
俺はふんと鼻をならした。
笑は俯いて俺を睨みつけた。
そんな笑を無視して俺は飯を頬張った。


今年の誕生日は、もしかしたら彼女と過ごすかも。

その言葉を俺は飲み込んだ。
まだ、確定したわけじゃないし。
何より俺に彼女がいることは、笑にはまだ話したくなかった。




「そういえば、義行もうすぐ誕生日だよね。」
いつものように俺に寄りかかって編物をしていた弥生が振り返っていった。
「あ、ああ。そうだな。」
俺は期待を悟られないように、必死で平静を保った。
「何か、ほしい物ある?」
弥生が笑顔で言った。

そんな質問をされるとは思っていなかった俺は眉をひそめた。
不安が俺を襲った。

この間作っていたあれは、俺への誕生日プレゼントだったんじゃないのか?

「義行?」
弥生は心配そうに俺の顔をのぞきこんだ。
「どうしたの?」
俺は慌てて首を振った。
「いや、なんでもない。なんでもないよ。」
俺は笑顔を作った。
「そうだな。・・・・・・しいて言うならキスしたいかな。」
俺がそう言うと、弥生は困った顔をして笑った。
「それはまだダメ。」
「誕生日くらいいいだろ?」
「そんなこと言って、誕生日以外にもしようとするでしょ。」
弥生は俺を睨んだ。
「するよ。」
俺はすました顔で答えた。
「じゃあ誕生日関係ないじゃない。」
弥生は笑った。
「なんか考えておくね。その日は、放課後一緒に過ごそうね。」
「ああ。楽しみにしてる。」
俺も弥生に微笑みかけた。


完成が近づくほど、男物だと確信していた。
女物にしては大きすぎるセーター。

じゃあ、誰のために作っていたのだろう。
俺以外のヤツに作っていた?
まさかそんなこと、あるはずないよな?



誕生日を次の日に控え、俺は期待と不安で落ち着かなかった。
思えばそういうイベントを彼女と過ごすのは初めてだ。
明日の放課後が待ち遠しくて仕方なかった。

休み時間、俺は友人の穂積龍之介の席の向かいに座り、次の時間の小テストのヤマをかけていた。
だが、穂積の隣の席が弥生のため、俺はそちらに神経がいってしまい、あまり集中できないでいた。

ちょうどそのとき、違うクラスの女子が弥生に駆け寄った。
「弥生!!ありがとう!!彼氏すっごい喜んでた!!」
その女子はうれしそうに弥生に言った。
「あんなんでよかったのかな?」
弥生は遠慮気味に言った。
「うん。手作りセーターなんて初めてだって感激されたよ!」
「あんた、また弥生に作らせたの?彼氏かわいそー。あんたが作ったと思ってるんでしょ?」
弥生の友達らしき同じクラスの女子が呆れたように言った。
「でも、私が作ったんじゃ着られる物にならないし、彼だって着るのも躊躇するような不恰好なものよりうれしいでしょ。」
その女子は笑って言った。

俺は頭が真っ白になり、穂積の声も参考書の内容も、全く頭に入らなくなってしまった。


この間まで作っていた物は、やっぱり俺の物じゃなかったんだ。
それどころか、他のヤツのために作っていたんだ。

期待を裏切られただけならまだしも、他のヤツのために時間をかけ、手間を掛けていた。
それが、俺はただショックだった。




家に帰っても、食欲がわかなかった。
笑に食べさせるために飯だけ適当に作り、俺は部屋に篭った。
ベッドに横になると、眼鏡をはずし、ため息をついた。

勝手に期待してただけだ。
その期待が外れただけなのに、俺はショックでめまいがした。

好きな人からの手作りのプレゼントがどれだけ特別な物か、弥生は理解してくれない。
弥生は、友達の彼氏と俺の両方の期待を裏切り、傷つけていることに気づいていない。
頼む方も頼む方だが、引き受ける方も引き受ける方だ。

顔も知らないヤツへの同情と嫉妬。
両方が入り混じって弥生への怒りに変わった。



なかなか寝付けず、ねっころがったままぼーっとしていると、携帯からメールの受信を知らせる音が鳴った。
俺はベッドから起きることなく、床に脱ぎ捨てた制服を引っ張った。
制服のポケットから携帯を出し、携帯を開くと弥生からだった。

『もう寝ちゃったかな?お誕生日おめでとう。今日の放課後は一緒に過ごそうね』

弥生にしてはずいぶんと長い文章だ。
ひどくのんきなそのメールに、俺は無性に腹が立った。
俺は携帯の電源を切ると床に投げ捨てた。

しばらく携帯は見たくなかった。



朝、教室に入るのはいつも一番乗りだ。
そして、その後大体弥生が入ってくる。
学校で男と話したがらない弥生と、校内でまともに会話が出来る短い時間だ。
昨日までは、その時間が1日の中で一番幸せな時間だった。
だが、弥生と顔を合わせたくなかった俺は、英単語帳をつかむと教室を出た。

俺が一人になりたいとき図書室に向かうことは、弥生じゃなくても知り合いならみんな知っている。
俺は屋上に向かった。


秋風が吹き付ける屋上は、当然だがまだ誰もいなかった。
俺は隅っこに座り込み、単語帳を開いた。
もともと好きじゃない英単語など、当然頭に入るはずもない。
俺はため息をつき、単語帳を閉じるとポケットの中のイヤホンを引っ張り出し、耳にねじ込んだ。
プレーヤーの再生ボタンを押すと、イヤホンからもれるドラムの音が頭に響く。
俺は目を閉じた。


このまま弥生から逃げていても仕方ない。
きちんと自分の気持ちを伝えなければいけないということはわかっている。
だが、一体何を言えばいいのだろう。
お前は俺の期待を裏切ったとでも言えばいいのだろうか。
そんなこと、言えるはずがない。


好きな曲さえ、ただ頭に響くだけで耳に入っては来なかった。


しばらくして、突然右のイヤホンが外れた。
俺は目を開け、イヤホンを手探りで探した。
「探したよ。」
声に驚いて顔を上げると、弥生が俺のイヤホンを取り上げ、少し屈んで俺を見下ろしていた。
「何度も呼んだのに返事してくれないんだもん。これじゃチャイム聞こえないでしょ?授業サボる気?」
弥生は俺のイヤホンを持ったまま、クスクス笑った。
「返せよ。」
俺は眉間にしわを寄せ、弥生を睨んだ。
「なんか機嫌悪い?携帯も全然つながらないし。」
弥生は首を傾げた。
「っせーな。ほっとけよ。いいから返せよ!」
俺は弥生の手からイヤホンを引っ手繰った。
「どうしたの?なんか変だよ?」
俺はそれには答えず、引っ手繰ったイヤホンを右耳にねじ込むとプレーヤーの音量を上げた。
弥生は俺の隣に座ると、また俺の右耳からイヤホンをはずした。
「ねえ。なんで無視するの?何怒ってるの?」
弥生は俺の顔を覗き込んだ。
俺はため息をついた。

「弥生は、友達の彼氏にもなんか作ってあげてんの?」
俺がつぶやくように言った。
「え?」
弥生は首を傾げた。
「だから、弥生は友達の彼氏にわざわざなんか作ってあげてるのかって聞いてんの!!」
俺は声を荒げた。
「うん。頼まれれば・・・・・。」
「なんとも思わないわけ?」
「何が言いたいの?」
弥生は眉をひそめた。
俺はため息をついた。
「ってことは、なんとも思わないってことか・・・・・・。」
俺は立ち上がった。
「鈍感だとは思っていたが、さすがにそこまでデリカシーないとは思わなかった。悪いけど、これ以上付き合いきれねーわ。」
俺はその場を離れようと歩き出しだ。
弥生は慌てて立ち上がった。
「ねえ。どうしたの?なんで怒ってるの?義行も何か作ってほしかったなら言ってくれれば・・・・・・。」
「そういうことがいいたいんじゃねーよ!!」
俺は振り返ると怒鳴りつけた。
弥生はびくっと肩を震わせた。
「自分が何やったか、よく考えてみろよ!!友達と一緒になってソイツの彼氏だまして満足かよ!!」
俺は声を荒げた。
「そ、そんなつもりじゃ・・・・。」
弥生は怯えた顔をしていた。
「ソイツの彼氏がなんで喜んだかわかるか?ソイツが自分のために時間をかけて、手間を掛けて、自分のことを考えて作ってくれた物だと思ったからだよ!!そんな気持ちを踏みにじってることがわかんねーのかよ!!」
弥生は顔を強張らせ、震えていた。
俺は深くため息をつくと、頭をかきむしった。
「他の男のために、毎日毎日一生懸命作ってる弥生を見ていた俺は、ただの間抜けじゃねーか・・・・・。」
弥生は何も言わなかった。
俺はきびすを返し屋上を出ると、教室に向かった。


「あの・・・伊東先輩。今日、お誕生日ですよね?これ・・・・。」
面識があるのかないのか定かではない後輩が、わざわざ俺にプレゼントを持ってきてくれた。
別に自分の誕生日など他人に触れ回ったつもりもないのに、なんで知ってるんだろう。
正直気味が悪い。
「ああ。わざわざありがとう。うれしいよ。」
そんなことを考えていることは億尾にも出さず、俺は笑顔でそれを受け取った。
後輩は会釈するときびすを返し、走っていった。
俺はその後姿を見てため息をついた。

「よくやるよ。」
「誰だアレ。」
「きめぇ。」
振り返ると、穂積と隣のクラスの織田里壱、藤咲隆がなんとも言えない顔をしていた。
「ほっとけ。」
俺は不機嫌な顔で言った。
「よくあんな愛想振り撒けるな。」
隆が感心したように言った。
「俺には無理だ。」
穂積が肩をすくめた。
「俺、メガネと知り合うまで自分って女の子に愛想いい方だと思ってた。」
織田が苦笑した。
「ほっとけっつーの!」
俺は舌打ちして教室に入ろうとした。
「はっきり言って、メガネと付き合う女はかわいそうだな。」
突然織田が言った。
「どういう意味だよ。」
俺は振り返った。
「普通、女の子って彼氏には特別扱いしてもらいたいもんだろ?もっと言ってしまえば特別にやさしくしてもらいたいもんだろ。メガネの場合、彼女には冷たくして、他の女の子にはやさしいとか普通にやりそうだから。」
織田は肩をすくめた。
「確かに。男相手でもよく知らないヤツには割と丁寧に接するしな。女だともっと差がありそうだな。」
隆が苦笑した。
図星を刺され、俺は何も言えなかった。


何度も、八方美人とか二重人格とか言われた。
怒っているのか、冗談なのかわからなかった。
癖なんだから仕方ないだろと言って、特に相手にしていなかった。

責められるべきは俺だったのかもしれない。


「ほんとだな・・・・・。」
俺は自嘲気味に笑った。
3人は一斉に怪訝な顔をした。
「どうかしたのか?」
隆が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「いや・・・・。」
俺はそのまま教室に入った。
そして自席に着くと、もらったプレゼントを無造作にかばんに突っ込み、机に突っ伏した。


「付き合いきれねー」と言った俺の言葉を弥生はどう取っただろう。
自分から言ったことなのに、ひどく胸が痛んだ。

こんなに腹立たしいのは、紛れもなく嫉妬だ。
好きでなければ嫉妬なんてするはずがない。
今、こんなに胸が苦しいのは、誰よりも、何よりも、俺が弥生を想っている証拠なんだ。

そんなことわかっているはずなのに、くだらない自尊心がそれを認めることを許さない。


ここ数日、ずっと心待ちにしていた放課後。
俺は帰り支度を整え、教室を出た。
弥生の顔を見るのが怖かった。


最高の日になるはずだった誕生日。
くだらない嫉妬で、好きな人を突っぱねて。
最悪の日になってしまった。


下駄箱を開けると、1枚の紙が二つに折りたたまれていた。
中を開けると、綺麗な文字で『屋上に来て』と書かれていた。
差出人の名前は書いていなかった。
でも、この字には見覚えがあった。
弥生の字だ。

行かなければ俺たちの関係は本当に終わってしまうかもしれない。
でも、今更何を言えばいいだろう。
今更、どんな顔して弥生に会えばいいだろう。

俺はその紙を握りつぶした。



屋上の扉を開けると、冷たい風が吹いてきた。
もう、日も落ち始めている。
人気のないその場所に、長い髪を揺らす弥生の後姿が見えた。
俺はゆっくり近づき、後ろから声を掛けた。
「俺が・・・・ここに来なかったら・・・・どうするつもりだったんだよ・・・・。」
弥生は振り返ると、微笑んだ。
「約束したでしょ?今日は放課後一緒に過ごそうって。」
俺は俯いた。
「そんな気分じゃねーよ・・・・。」
「どうして?」
弥生は俺の顔を覗き込んだ。
「どうしてって・・・。そんな簡単に気持ち切り替えられるほど俺は器用じゃねーよ!!」
俺は声を荒げた。
「さっき、後輩の女の子には笑顔だったのに?」
弥生は上目遣いで俺を睨んだ。
「嫌味言うために呼んだのかよ。」
俺はため息をつくと、舌打ちした。
「違うよ。義行のお誕生日、お祝いしたいから呼んだんだよ?」
弥生はいつものようにクスクス笑う。
俺はイライラした。
「だから!!そんな気分じゃねーって、さっきから・・・。」
そう言いかけたところで、俺は言葉を飲み込んだ。
笑顔を作る弥生の目には涙が溢れていた。
弥生はこぼれそうな涙を必死で抑えていたが、やがて顔をゆがめると俯いた。
その肩は震えていた。


こんなとき。
笑のような女なら、すがり付いて泣くことが出来るんだろう。
上目遣いで目に涙をためて、許しを乞うことができるんだろう。

変なところで意地っ張りで。
気が強いのかと思えば、ただの甘え下手で。
男に媚びることを良しとしない。
人に弱みを見せることを良しとしない。
彼氏の前ですら、涙を見せることを良しとしない。

本当に、どこまでもかわいげのない女。


俺は弥生を抱きしめた。
「・・・ほんっと、かわいくねーな。」
弥生の耳元でつぶやいた。
弥生は俺の背中に手を回し、嗚咽を漏らし始めた。

弥生は小さくくぐもった声で何か言った。
何を言っているのか、よく聞こえなかった。
でも、何を言いたいのかは、胸に伝わる弥生のぬくもりでわかった。
俺は弥生の髪に顔をうずめた。
「ごめんな。俺、嫉妬してたんだ。友達の彼氏の気持ちとかえらそうなこと言ってたけど。弥生が他の男のために何かしてあげてたって言うのが、たまらなく嫌だったんだ。」
弥生は首を横に振った。


冷たい風が弥生の髪を揺らす。
俺は風上に背を向け、弥生をきつく抱きしめた。
「・・・・痛いよ・・・・。」
弥生がつぶやいた。
「でも、この方が暖かいだろ?」
「・・・うん。」
弥生は俺の背中に回した手に力を入れた。
「友達に・・・・話したよ・・・・。」
「ん?」
「作り方教えるから、今度からは自分で作ってって・・・・。」
「・・・・うん。」
「ごめんなさい・・・・。」
「・・・・うん。」
弥生は顔を上げた。
泣き腫らした顔で、必死に笑顔を作っていた。
「お誕生日、おめでとう。」
「・・・・ああ、ありがとう。」
俺は弥生に笑いかけると、涙のあとが残る弥生の頬にキスをした。



「あ、お兄ちゃん。おかえりなさい。」
「遅かったな。」
家に帰ると、キッチンにナオが立っていた。
「あれ?なにやってんだ?」
俺は首を傾げた。
「見りゃわかるだろ。飯作ってんだよ。」
ナオはふんと鼻を鳴らした。
「なんで?」
「せっかくの誕生日なのに、笑の手料理じゃかわいそうだと思ったからわざわざ作りに来てやったんだろ。」
ナオは不貞腐れたように言った。
「ま、笑が作ったところで、結局食える物にならなくてピザ頼むのがオチだろうけどな。」
ナオが笑うと、ダイニングで座っていた笑がナオを睨んだ。
「なおにいそれひどくない?」
「ひどくない。むしろやさしい。」
ナオは鼻で笑った。
「あ、俺、スポンジケーキ焼けねーから。ケーキほしけりゃ自分で焼けよ。」
「自分の誕生日に自分でケーキ焼くのかよ。」
俺は苦笑した。
「まあいいや。デコレーションは頼むな。」
「それくらい笑にやらせろよ。俺は忙しいんだ。」
「それもそうだな。笑。なんか適当にケーキに乗っけられそうなもん買ってきて。」
俺は財布から千円札を取り出し、笑に渡した。
「わかった。なんでもいいよね?」
「ケーキに乗せられるものにしろよ。あと栗はやめろ。」
「わかってるよ。」
そう言って、笑は千円札を財布に入れ、リビングを出て行った。

「機嫌、よさそうじゃねーか。」
笑がいなくなったのを見計らったようにナオが言った。
「え?」
俺はナオの方に振り返った。
「いや。笑が昨日からヨシが落ち込んでるって言ってたから。だからご飯作って元気付けてあげたいって相談されたんだよ。」
「・・・・ああ。そっか。・・・・悪いことしたな・・・。」
俺は目を伏せた。
「女と喧嘩でもしたか?」
「・・・・まあ、そんなとこだ。」
俺は苦笑した。
「ふーん。」
ナオは珍しい物を見るかのような目で俺を見た。
「機嫌いいってことは、仲直りできたんだな。」
ナオはにやりと笑った。
「今度会わせろよ。」
「なんでだよ。」
俺は眉をひそめた。
「喧嘩ごときで落ち込むってことは、今回は本気なんだろ?」
ナオはくくっと笑った。
「その子にヨシなんかよりもっとずっといい男がいるってこと、教えてあげないといけないしな。」
「オメーには間違っても会わせねー。」
俺がナオを睨むと、ナオは可笑しそうに笑った。

-終わり-

駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


最近、義行と尚也の会話で〆る事が多いな。
いや、どうにも〆やすいんですよね。
この二人のやりとりは。

時期は義行と弥生の付き合い始め。
まだ3人には付き合ってることがばれていない。
なんか最近アイツおかしくね?みたいに怪しまれている程度。

尚也と笑はもちろん付き合っていない。
そもそも笑がまだ失恋していない。
だから、尚也の笑に対しての言動が辛口。


義行はとにかく感情が表に出やすいので、好きな女の子が出来たら、尚也と笑には真っ先にばれる。
喧嘩したときとか、帰ってきたときの「ただいま」の声のトーンだけでバレる。

逆に尚也は隠すときはとことん隠す。
そういう時は本当に隙がない。
そのため、義行は結構気づかないことが多い。


私の書く尚也が、友人たちからとても不評です。
「かっこよすぎて胡散臭い」と言われました。

ちがうんだよー。
尚也は「胡散臭いかっこよさ」なの。
ニュアンスが違うの!!

まあ、ね。
尚也は私の「かっこいい男の子像」を完全に突っ込んでるから仕方ないんだよ。
だって、隆くんに失恋した笑が惚れるためには隆くん並にかっこよくなきゃいけなかったんだもん。
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コメント
No title
まだ付き合い始めた頃の二人なんですね。
弥生ちゃんにも、ヨシくんにも、まだ若干の距離があったりして、
その距離が縮まったりする感じが好きです。
いいなー、誕生日SS!
お互いを思う気持ちが一番よく書ける感じがするんですよね。
初々しい二人のお話をありがとうございました!

ナオくんのカッコよさは、胡散臭いカッコよさなんですねw
笑ちゃんが魅かれていかなければいけないですもんね!!
[2010/05/22 00:27] URL | みぃ #- [ 編集 ]

>みぃさん
お読みいただきありがとうございます。
誕生日が秋なので、非常に季節外れですけどねwww
BSBの誕生日SSは自分の誕生日になってしまうので、その時期に上げにくいですね。
思春期の恋愛って無駄に意地張って、不器用でいいですよねー。
もう憧れ以外の何者でもありませんが。

そうです。
尚也はちゃんとどうすれば自分がかっこよく思われるかちゃんと研究してると思うので、胡散臭いかっこよさなんですwww
義行と穐田くんはそれを知ってるけど、笑は意外と知らないのです。
尚也が小さいころから一番かっこつけていたのは笑の前でだから。
[2010/05/22 19:56] URL | みか #- [ 編集 ]

胡散臭さの化身
ヨシの誕生日から、クリスマスまで間があまりないのだけど…
これからって考えると、すごい短期間だってことがわかるね。

R-18じゃないけど、最近さりげなくカッコいい事されました。
まあ、ネタになるか分からないので、ちょっとここじゃ書かないけど…

また、エロネタに飢えていたら、いろいろとチャットしましょう。
[2010/05/26 01:01] URL | ショウ #CGSys/Bo [ 編集 ]

>ショウちゃん
私がエロスの塊魂で、貴女が胡散臭さの化身ですね。

そう。
隆くんの妹と知り合うのが11月の頭なので、それ以降じゃないと笑が失恋できない。l
だからお互いを意識しだしてから付き合うのはずいぶん期間が短い。

おお。
ネタですね。
楽しみです。
私は、休前日の20時以降ならいつでも大丈夫だ。
今週は運動会だからダメだけど・・・・。

エロ?
いつだって飢えているさwwwwww
[2010/05/26 13:01] URL | みか #- [ 編集 ]


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