母は二次元に恋をする
様々な現実から目をそむける為の妄想ブログ
プロフィール

らいだったりみかだったり

Author:らいだったりみかだったり
ドクターストップかかって現在断酒中。
鎖骨がきれいな眼鏡男子が好き(二次元に限る)。
よく勘違いされるが腐ではない。

好きなゲームはFEシリーズ、英雄伝説シリーズとかなんか色々。
最近は主にコミPo!でマンガ作って遊んでます。



コミPo!



閃の軌跡



閃の軌跡Ⅱ



リンク

このブログをリンクに追加する



最新コメント



カテゴリ



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



忙しいときに限って
こんなことやってる暇はないっていう自覚はあるんですよ。
ええ。
一応ね。

でも、現実逃避っていうとどうしても妄想。
妄想すると、SS書きてーなになる。

やらなきゃいけない仕事ってのが、PCに座ってやる仕事。
しかも一人の時しか出来ない(テープ起こしなので、うるさいとできない)。
そして、飽きるとSS書く。
そんな状態。

なんもないときは、書いても最後まで書ききれず、途中で消しちゃうくせに、忙しい時に限って書きあがる。

そんなわけで。
結構「笑の友達」として登場していただいている隆くんの妹の茜ちゃんなんですが、笑との出会いを書いていなかった。
サクラサルさんと一応「こんな感じで」という風には話していたので、今回ちゃんとまとめました。
あと、尚也と笑の付き合う前の話を笑視点で書きたかったのもあって、今回珍しく笑視点です。

よければどうぞ。

小さいころ。
私にはいつでも守ってくれる王子様が二人いた。
私はいつも二人の背中を追いかけていた。

泣いている私に差し出される二つの手。
そのぬくもりは、私にとって当たり前のものだった。

私はお姫様なのだと、何の疑いもなく思っていた。



「おにいちゃあん!!」
私、伊東笑は家の玄関を開けると、半泣きで叫んだ。
リビングの扉を開けると、いつものようにお兄ちゃんがキッチンで晩御飯を作っていた。

共働きの両親は仕事で帰りが遅い。
そのため、平日の晩御飯はお兄ちゃんが作っていた。

「なんだよ。まずはただいまだろ。」
お兄ちゃんは呆れたように言った。
「お兄ちゃん!!なんか変な人が駅からずっとついてきて怖かったよお!!」
私はキッチンにいるお兄ちゃんに抱きついた。
お兄ちゃんの顔を見たとたん安心したせいか、目から涙があふれてきた。
私はお兄ちゃんの胸にすがりつき、嗚咽を漏らし始めた。


電車の中からずっと視線を感じていた。
なんだろうとは思っても、自意識過剰かもしれないと思い、気にしないようにしていた。
でも、駅で降りても、駅を出ても、その視線は消えることはなかった。
何度か振り返ると、少し距離を置いたところに男の人がいた。
私が止まると止まり、歩き出すと歩き出す。
何かされたわけではないが、とにかく気持ちが悪く、私は慌てて走って家に帰った。

この制服が女子高の制服だということは、近辺の人なら当然知っている。
そのため、変質者に狙われることが多いと学校から注意を受けたばっかりだった。


「家までついてきたのか?」
お兄ちゃんは真剣な顔で言った。
「わかんない・・・。慌てて走ってきたから・・・。」
私は泣きながら答えた。
「ちょっと待ってろ。見てくるから。」
お兄ちゃんは私から離れようとした。
「やだよ!一人にしないでよ!」
私はお兄ちゃんの腕にしがみついた。
お兄ちゃんは私の顔を見ると困ったような顔をした。
「そんな不安そうな顔するな。ナオにも連絡してやるから。な?ナオに来てもらって3人でメシ食おう。そうすりゃ安心だろ?」
お兄ちゃんはやさしい笑顔で私の頭をなでた。
「うん・・・・。」
私は小さくうなずいた。


なおにいは、歩いてすぐのところにある大きな家に住んでいる。
幼馴染でお兄ちゃんの親友。
というより、私たちにとっては両親よりも長い時間をすごしてきた家族のような人だ。


お兄ちゃんが電話をすると、本当になおにいはすぐに来てくれた。
「来るとき見てみたけど、それらしいヤツはいなかった。」
なおにいは玄関で靴を脱ぎながら言った。
急いで来てくれたらしく、息を切らしている。
「勘違いだったのかな。」
私はほっと胸をなでおろした。
「そうとは限らないだろ。笑が女子高の生徒だってことは見りゃわかることだし、大体同じ時間の電車に乗ってれば目つけられてもおかしくない。」
なおにいは真剣な顔で言った。
「大方家に明かりが着いてたから家族がいると思って逃げたんだろ。」
なおにいはリビングのドアを開けた。
私はなおにいの後についていった。

「ああ。悪いな。急に呼び出して。」
お兄ちゃんはテーブルに食事を並べながら顔を上げた。
「いや。笑になんかあったらお前んちだけじゃなく、うちの両親まで発狂するからな。」
なおにいはため息混じりにそういうと、食卓に着いた。
「俺にとっても笑は大事な妹だし。ヨシだけが気負う問題じゃないだろ。」
「そう言ってくれると助かる。」
お兄ちゃんはほっとしたように微笑んだ。

お兄ちゃんとなおにいはいつも一緒にいるくせに、顔をあわせると喧嘩ばっかりしている。
でも、私に何かあると、二人は不思議と喧嘩をしなくなる。
そして、それが終わるとまた喧嘩をする。
二人にとって喧嘩は日常であり、平和な証拠らしい。


「とりあえず、しばらく落ち着くまで俺もこっち来るよ。」
「ああ。頼む。笑も電車乗る前ににーちゃんにメールでも電話でもよこせよ。なるべく迎えに行くようにするから。」
「迎えに来なくても大丈夫だよ。気をつけて帰ってくるようにするから。」
「気をつけてても、いきなり襲われるとか、ないともかぎんねーだろ。ヨシが無理なときは俺が行くようにする。」
私は不安な気持ちを顔に出さないように首を横に振った。
「大丈夫だよ!ひょっとしたら私の勘違いかもしれないし!二人とも自分の時間削ってまで私のこと気にかけなくても・・・・。」
私は必死で笑顔を作った。
「何言ってんだ。さっきまで泣いてたくせに。」
「そうだ。笑らしくねーぞ。今更俺らに気つかってどうすんだ。」
二人は口々に言った。
「でも、本当に大丈夫だから。ちゃんとお兄ちゃんにメールはするし。ね?」
私は二人に笑顔を向けた。


私が二人のお姫様になれないと知ったのは、二人が高校に入ってすぐだった。

別々の高校に入った二人は、すぐに彼女が出来た。
それまで、ずっと3人一緒なのだと信じていた私はショックだった。

最初のうちはふてくされたり、わがままを言ったり、意地を張ってみたりした。
そうすれば二人は私を見てくれた。
でも、それが長く続かないことがわかるのに、大して時間は掛からなかった。

彼女ができると、二人は私に気を使う。
だから雰囲気ですぐにわかる。

そして今、二人に彼女がいることも、口に出さなくてもなんとなくわかっていた。


もうすぐ高校を卒業する二人。
本当の意味で大人になってしまう二人。

これ以上二人に、私のことで手を煩わせるわけにいかない。

おいていかれる寂しさは、小さい方がいい。


「いいのに。わざわざ迎えに来なくても。」
私は改札口で立っているお兄ちゃんに駆け寄った。
そんなことを言っていても、やっぱりお兄ちゃんの顔を見たとたんずっと抱いていた不安は不思議なほど晴れていた。
お兄ちゃんは私を見つけると、周りをキョロキョロと見回した。
そして、怪しい人がいないことを確認すると、ほっとしたような顔をした。
「いいんだよ。ほらいくぞ。」
お兄ちゃんはそう言うが早いか、きびすを返すと歩き始めた。
お兄ちゃんはせっかちで、歩くのがとにかく速い。
小さいころから、いつも走らないと追いつかなかった。
「待ってよ。」
私はお兄ちゃんの腕にしがみついた。
「ひっぱんな。腕抜ける。」
「だってお兄ちゃん速いんだもん。」
「あー。もー。わーったよ。悪かった。」
お兄ちゃんは面倒くさそうにそう言うと、私に歩調を合わせ歩き始めた。
私はお兄ちゃんの腕にしがみついたまま、お兄ちゃんと並んで歩いた。


昔はいつも手をつないで歩いた。
いつからつながなくなったんだろう。


「とりあえず、今日はいなかったな。」
晩御飯を食べながらお兄ちゃんはほっとしたように言った。
「うん。やっぱり、私の勘違いだったのかも。」
「そんなのわかんねーだろ。今日たまたまかもしんねーし。何かあってからじゃ遅いんだから、警戒するに越したことはない。」
なおにいは私を咎めるように言った。
「俺がいたからいなかったのかもしんねーし、しばらく様子見たほうがいい。ちゃんと時間作るから心配すんな。」
「俺もバイトのシフト、時間ずらしてもらった。事情話したらすぐ変わってもらえたよ。やっぱ最近この辺変質者多いらしい。」
「そ、そこまでしなくても・・・・。」
「用心に越したことないだろ。」
「勘違いだったら笑い話で済むけど、勘違いじゃなかったら笑えないだろ。」
真剣な二人に私は何も言えなかった。


二人は過保護だ。
私に何かあると、自分のことを全て投げ出しても私を気にかける。
そんな私を友達はうらやましいと言う。

でも二人が私を気にかけるのは、あくまで私が二人の『妹』だからだ。
『お姫様』だからじゃない。


私は慌てて話題を変えた。
「あ、そういえばお兄ちゃん、もうすぐ文化祭だよね?」
私が言うと、お兄ちゃんは俯いて舌打ちした。
「覚えてたか・・・・・。」
「何それ。来るなってこと?」
私は頬を膨らませた。
「別に無理をしてまで来る必要はない。っていうか、忙しいだろうし来るな。」
お兄ちゃんは私から目をそらして不機嫌そうに言った。
「ひどーい!来るなって言った!!絶対行くもん。ね?なおにい。一緒に行こ?」
私はなおにいのほうを向いた。
なおにいは私を一瞥した後、お兄ちゃんの方を見て含みのある笑みを見せた。
「そうだな。一緒に行くか。翔も誘って。」
「別に何もおもしろいことなんてないから来なくていい。」
お兄ちゃんはムキになって言った。
「何か笑に知られたくないことでもあるのか?」
なおにいはお兄ちゃんを挑発するように言った。
お兄ちゃんはなおにいを睨むと、そっぽを向いた。
「あ、わかった。藤咲さんに会わせたくないんだ。なんでいつも藤咲さんに会わせてくれないの?ずるいよ。私だって藤咲さんに会いたい!!」
私は身を乗り出した。
「フジサキさん?」
なおにいが首を傾げた。
「お兄ちゃんのお友達でね、すっごいかっこいいの!!」
私は両手を顔の前で組んだ。
「・・・・・ふーん。なんだ。男か。」
なおにいは興味なさげに言った。
その顔は心なしか不機嫌そうだった。
お兄ちゃんは相変わらずそっぽを向いたままだった。
「ま、別にヨシが教えてくれなくても俺の友達でヨシと同じ学校のヤツはいるし。ソイツから日にち聞いてきてやるから。」
なおにいはニヤリと笑った。
「ほんと?うれしい!!ありがとう!!なおにい!!」
私はなおにいの腕にしがみついた。
「・・・・余計なことを。」
お兄ちゃんは不機嫌そうにつぶやいた。
そんなお兄ちゃんを見て、なおにいは勝ち誇ったように笑った。
さっきまでの重苦しい雰囲気がやわらかくなり、私はほっとした。


「今朝もずっと来るな来るなって言ってたんだよ。」
私は頬を膨らませた。

お兄ちゃんの学校の文化祭当日。
私は約束どおり、なおにいとなおにいの友達の穐田翔さんと一緒に見に行くことになった。
でも、お兄ちゃんは最後までそれに対していい顔をしなかった。
私がお兄ちゃんの友達の藤咲隆さんにあこがれているせいなのか、それとも、他に会わせたくない人がいるのか。
なんとなく後者のような気がしていた。

「往生際が悪いな。」
なおにいは苦笑した。
「まあ、そうは言っても伊東ちゃんだってなんだかんだ言っても笑ちゃんが来れば喜ぶよ。」
穐田さんがやさしい笑顔で言った。


考えてみれば、お兄ちゃんの友達はかっこいい人ばかりだ。
藤咲さんはもちろん、なおにいや穐田さんだけでなく、高校の友達も。
そして、みんな私に優しくしてくれる。
友達がうらやむのも無理はないかもしれない。

でも、彼らに優しくされればされるほど、私が彼らと対等でないことを思い知らされる。


土曜日の一般公開日は近辺の人たちも当然来ていた。
そのため、すごい人だった。
「どこも混んでるね。」
私はため息混じりに言った。
「腹減った・・・・。」
穐田さんは深いため息をついた。
「食い物売ってるとこは特に混んでるな。仕方ない分散するか。笑、お前は飲み物買って来い。俺と翔で食い物買ってくるから。買ったらここで待ち合わせな。」
「うん。わかった。」
私は自販機を探して歩き出した。

天気がよく、乾燥していることもあって、自販機はどこも売り切れているし、飲み物を売っているクラスはどこも混んでいた。
ずいぶん時間を食ってしまったけれど、なんとか3人分のペットボトルのお茶を買い、待ち合わせ場所に戻った。
すると、なおにいと穐田さんが知らない女の人と楽しそうに話しているのが見えた。

知り合い?
それとも、ひょっとしてナンパ?
なんとなく、声を掛けにくい雰囲気だった。

私と一緒に来てるのに、女の子ナンパするなんてありえない。

そう思っても、私にそれを咎める資格はなかった。

気分が悪かった。
私は無意識にその場を離れた。

とぼとぼと歩いていると、見覚えのある人を見つけた。

藤咲さんだ!

私は慌ててその人を追いかけた。
「藤咲さん!!」
私はその後ろ姿に声を掛けた。
すると、藤咲さんは振り返った。
が、藤咲さんは私を見ると、怪訝な顔をした。

あれ?
藤咲さんってこんな線の細い人だったっけ?
背も、もっと大きかったような・・・・。

私はまじまじとその人を見つめた。


藤咲さんだと思ったその人は、男子の制服を着ているけれど、どう見ても女の人だった。
「あ・・・・。す、すいません!!人違いでした!!」
私は慌てて頭を下げた。
いくら遠くから見かけたからって女の人を男の人と間違えるなんて、何やってるんだろう。
私は恥ずかしくて耳まで熱くなった。
「・・・・あ、もしかして、兄貴の知り合い?」
彼女はそう言った。
「え?」
私は顔を上げた。
「よく似てるって言われるんだ。こんな格好してたし、間違えられても仕方ないよね。」
彼女は優しい笑顔で言った。
「え?あ、藤咲・・・隆さんの妹さん?」
「うん。茜です。」
「あ、私は、伊東笑です。お兄ちゃんが藤咲さんの友達で・・・。」
「ってことは、伊東先輩の妹さん?じゃあ、私と同い年なんだね。」
彼女はにっこり笑った。
「私のこと、知ってるんですか?」
「うん。っていうか、同い年なんだし、敬語はやめようよ。ここで会ったのも何かの縁だし、仲良くしよ。よろしくね。」
そのやさしい笑顔につられて、私も彼女に笑顔を向けた。
「こちらこそ、よろしく。」
「今日は一人出来たの?」
「うーん。本当はお兄ちゃんの友達と来てたんだけど、なんか知らない女の人と話してたから、悪いかと思って・・・・。」
「そしたら私を兄貴と間違えちゃったんだ。」
茜ちゃんはクスクス笑った。
「うん。ごめんなさい。男の人と間違えるなんて・・・・。」
「こんな格好してたしね。クラスの友達に乗せられて男装することになっちゃって。こちらこそごめんね。混乱させるようなことして。」
「ううん。おかげでこうやって友達になれたんだし。」
「そうだね。よかったら、うちのクラス来てみる?もしかしたら、友達いるかもよ?」
「うん!ぜひ!」
「じゃあ、行こう。」
茜ちゃんは私を促すように歩き出した。


「やだ!!笑!!超ひさしぶり!!」
茜ちゃんのクラスに入るなり、中学時代のクラスメイトが私に駆け寄ってきた。
「あ、ひさしぶり!!元気だった?」
「うん。あ、伊東先輩のとこ来てたのか。士奈先輩は一緒じゃないの?」
「うん。一緒だったんだけどね。なんかナンパしてたみたいだから邪魔しちゃ悪いかと思って別行動取ることにしたの。」
「え?士奈先輩には何も言ってないの?」
「うん。」
「それ、やばくない?絶対心配してるよ。」
「そうかな。」
「っていうか、それ、本当にナンパだったの?逆ナンされてて断ってたんじゃないの?」
「でも、楽しそうに話してたよ。」
「士奈先輩が女の子に冷たくするわけないじゃん。絶対心配してるって。早く連絡した方がいいよ。」
彼女があまりに真剣な顔でそういうので、私はバッグから携帯を取り出した。
周りが騒がしくて気づかなかったけれど、どうやら連絡があったらしい。
携帯は着信があったことを知らせるライトが点滅していた。
「ほら、やっぱり。絶対士奈先輩だよ。」
彼女は苦笑した。
携帯を開くと、メール件数、着信件数共にとんでもないことになっていた。
着信件数24件。
メール件数10件。
履歴を見ると、なおにいとお兄ちゃんから交互に掛かってきていた。
「過保護・・・・。」
私はぐったりした。

ここの学校は家から歩くとちょっと距離があるけれど、帰れないこともない。
迷子になったからって、これはいくらなんでもひどいんじゃない?
幼稚園児じゃないんだから。

私の呟きを聞いて、友達と茜ちゃんはクスクス笑った。
私は恥ずかしくてたまらなかった。
すると、すぐに携帯の着信が鳴った。
私は慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「あ!笑か!?今どこだ!?」
お兄ちゃんの声だった。
「1年生の教室・・・・。藤咲さんの妹さんのクラス・・・・。」
「わかった!そこから動くなよ!!」
そう言って電話は切れた。
本当にせっかちだ。
お兄ちゃんが茜ちゃんのクラスを知っているのか不安に思ったけれど、動くなと言われては動くわけにいかない。
わからなかったらまた連絡があるだろう。
私はため息をついて、携帯を閉じた。

「やっぱり心配してたじゃない。」
友達が苦笑した。
私は恥ずかしくて苦笑した。
「もう、嫌になっちゃうよ。いつまでたっても子ども扱いでさ。」
「いいじゃん。あんなかっこいいお兄さん二人に心配してもらえてさ。妹の特権でしょ。」
「でも、所詮妹だよ。いつかおいてかれちゃうんだよ。」
私は目を伏せた。


いつまでも守ってもらえるわけじゃない。
いつまでも心配してもらえるわけじゃない。

その手を離したくなくても、いつかは離さなきゃいけない。
そして、そのときはすぐ目前に迫っている。


「「笑!!」」
程なくして、勢いよく教室のドアが開いた。
お兄ちゃんとなおにいが息を切らして教室に入ってきた。
「「大丈夫か?変なヤツに声掛けられたりとか、なんかされたりとかなかったか!?」」
二人は声をそろえてまくし立てた、
「だ、大丈夫・・・・。」
私は二人の勢いに圧倒され、しどろもどろになった。
「「よかった・・・・。」」
二人は肩をなでおろして息をつくと、突然睨みあった。
「大体オメーが女にうつつ抜かしてんのがわりーんだろうが!!」
「ぁあ!?おめーこそ全然携帯つながんなかったじゃねーか!!」
またいつもの胸倉を掴んでの怒鳴り合いが始まった。
「ちょっ。やめなよ。こんなところで・・・・。何もなかったんだから・・・。」
「「うっせぇ!!笑は黙ってろ!!」」
なだめようとした私を二人は一斉に怒鳴りつけた。
私はまた深いため息をついた。
こうなってしまうと、二人が飽きるまで放っておくしかない。

突然喧嘩を始めた二人に、周りの人たちは唖然とした顔をしていた。
中学が同じだった友達だけがクスクス笑いながらその光景を見ている。
「久しぶりに見た。伊東先輩と士奈先輩の喧嘩。なんか懐かしい。」
「いつまでたってもああなんだよ。人のこと子ども扱いするくせに、自分たちだって子どもみたいな喧嘩してんの。」
私はうんざりしながら言った。
「いいじゃない。二人とも笑のこと心底心配してたんでしょ。」
そんな話をしていると、息を切らして穐田さんが教室に入ってきた。
「ったく。笑ちゃんのことになると二人とも速いんだから・・・・。」
穐田さんはため息混じりに苦笑して、私の側に来た。
「よかった。心配したよ。笑ちゃんなかなか来ないから。最近ストーカーに遭ってたんだって?変なヤツに無理やり連れてかれたんじゃないかって、なおやん、顔面蒼白でさ。見せてあげたかったよ。」
穐田さんは笑って言った。
「なんか、女の人と楽しそうに話してたから、声かけちゃまずいかと思って・・・・。」
「ああ、そっか。ごめんね。タイミング悪かったね。逆ナンされちゃって、必死で断ってたんだけど、向こうもしつこくてさ。」
「ほら。やっぱり言ったとおりじゃない。」
友達が笑った。
「・・・ごめんなさい。早とちりしちゃって・・・・。」
私は目を伏せ、穐田さんに謝った。
「まあ、無事でよかったよ。あの二人が喧嘩するってことは、平和な証拠だしね。」
穐田さんはくくっと笑った。
「そうですね。」
私も笑い返した。


程なくして、喧嘩に飽きたらしい二人がこちらを向いた。
「ほっとしたら疲れた。なんか甘いもんでも食いに行くか。ナオのおごりで。」
「ざけんな。甘いもん食いたきゃ麩菓子でも食ってろ。」
なおにいがお兄ちゃんを睨んだ。
「しっかし、全然電話でねーし、心配したんだぞ。」
「うん。ごめん。バッグの下のほうにあったから気づかなかった。それにしても、よく茜ちゃんのクラスわかったね。」
「いや。わかんなかった。隆探して聞いた。」
「え!?藤咲さんいたの!?どこ!?」
私が身を乗り出すと、お兄ちゃんはしまったという顔をして、顔をそらした。
「もう!お兄ちゃん!」
私は口を尖らせた。

「あ、そうだ。」
私は茜ちゃんに駆け寄った。
「アドレス、教えてくれる?今度メールしてもいいかな?」
「うん。ぜひ。私からもメールするね。」
そう言って茜ちゃんは携帯を取り出した。
茜ちゃんと赤外線でプロフィールを交換し合っていると、お兄ちゃんが後ろから声を掛けた。
「ごめんね。妹が迷惑かけたみたいで。」
茜ちゃんは慌てて首を振った。
「え?いえ、全然そんなことないです!!」
「どっちかって言ったら、こんなとこで喧嘩してるお兄ちゃんたちのほうがよっぽど迷惑だよ。」
私はため息混じりに言った。
「ああ、悪かったよ。」
お兄ちゃんは面倒くさそうにため息をついた。
「まあ、それも含めて、ごめんね。あと、ありがとう。」
お兄ちゃんは身内には絶対見せない外面のいい笑顔で微笑んだ。
いつものお兄ちゃんを知っている人が見ると、非常に気持ち悪いと思う。
なおにいと穐田さんも私と同じことを考えているようだった。
茜ちゃんは少し恥ずかしそうにしていた。
騙されてるよ、と言いたかったけど、心の中にとどめておいた。
お兄ちゃんはその胡散臭い笑顔のまま、その場を離れた。
「今日は本当にありがとう。今度、うちに遊びに来てね。」
私は茜ちゃんに笑顔を向けた。
「うん。ありがとう。うちにも是非遊びに来て。」
茜ちゃんも笑顔で言った。

「おい。笑。行くぞ。早くしろよ。」
私を呼ぶ声が聞こえた。
「ごめんね。お兄ちゃんたちがうるさいから。また今度ゆっくり話そうね。」
私は茜ちゃんにそういうと、声のした方に振り返った。
教室の扉の前では、お兄ちゃんとなおにいが並んで私を待っていた。
それは、小さいころと同じ光景だった。


走らなければ追いつかなかった二人の背中。
どうせおいていかれるって、卑屈になっていた。
でも、思えば二人はいつだって走れば追いつく距離で私を待っていてくれた。


私は二人に駆け寄ると、右手でお兄ちゃんの手を、左手でなおにいの手をそれぞれ握った。
二人はびっくりして目を見張った。
二人の手は、あのときよりずっと大きくてごつごつしていた。


「お、おまっ。高校生にもなって、これはおかしいだろ!」
なおにいが顔を赤くして、気恥ずかしそうに言った。
「幼稚園児か・・・・。」
お兄ちゃんも呆れたように言った。
「まあ、いいじゃない。たまには。昔みたいで。」
私は笑っていった。
「三列で歩くと邪魔だし、せめてどっちか離せよ。」
お兄ちゃんが不機嫌そうに言った。
「やだ。」
私は二人の手をぎゅっと握った。
そんなやり取りを後ろで穐田さんが笑って見ていた。


来年になれば、私はまた二人において行かれる。
でも、走って追いかければ、きっとまた二人の背中を見つけることが出来る。

いつか、追いついてみせる。
いつか、追い越してみせる。

その日のために、今日だけは、この手のぬくもりに甘えさせてもらおう。

-おわり-

駄文にお付き合いいただき、ありがとうございます。


これ、書くにあたって、実はきっかけがありました。

下の娘が、「お母さん、子ども生まないの?」とか言い出したのですよ。
で、「なんで?」と聞いたら「妹がほしい」と。

自分はひらがなも書ける(一部鏡文字)漢字も少し書ける、足し算も出来る、掛け算も出来る(1の段は掛け算とは言わないと思う)絵本もちゃんと読める。
それなのに、いつまでたっても自分は一番小さい、と。

いつも、鬼ごっこも自分が一番おそい。
かけっこも一番おそい。
マリオパーティーもいつも自分が負ける。
お姉ちゃんが走っていっちゃうと追いつけない。
だから妹がほしい。
自分はいっぱいかわいがってあげる。

というのです。


私は、兄姉があまりにも年が離れていたので、追いつこうとさえ思ったこともなかったのですが、年が近いとそう思うんだなーと思い、こんな話を書いてみました。


あ、かごバッグ完成しました。
近いうちうpします。
スポンサーサイト

コメント
No title
茜の登場!まえにチャットでお話してた出会いですよね!
男前の茜とかわいい笑ちゃん、ちょっとしたカップルに見えるかも!
ヨシくんは、弥生ちゃんに会わせたくないので学校祭に来てほしくないんでしょうか・・・^^

兄妹の下のほうは、上においていかれるような気持ちになるんでしょうか?
下のお子さんが妹がほしいっていうのがなんだか可愛かったです。

やらなきゃいけないことがあるときほど、違うことしちゃいますよね
現実逃避ですよね。そんなときほどサクサク創作できちゃう。なんででしょう・・・

[2010/06/03 13:22] URL | サクラサル #- [ 編集 ]

No title
お読みいただきありがとうございます。
そうです。
以前チャットでお話したアレです。
ずっとSSにしようと思ってたんですが、どうもそれだけだとあんまり動きがなかったので、シスコン2名の過保護なお話になりましたwwww
そういえば、茜ちゃんって背高いんですよね。
笑は低いので、確かにちょうどいいかも。

そうです。
義行は、笑に弥生を会わせたくないし、弥生に笑を会わせたくないのです。
気使うから。

おいてかれるっていうか、取り残される気持ちにはなりますね。
下の娘はずいぶん上と一緒に遊びに行ったりとかしてますが、仲がいいから余計においてかれてる気になるのかもしれません。
ご飯もたくさん食べて、早く大きくなるんだそうです。
そうすればおねえちゃんになれるんだと信じています。
無理だ。ごめん。

ほんと。
こんなことやってる場合じゃねーだろと思いつつ、なんか書きたくなる。
書かないと落ち着かない。
病気ですね。
妄想病www
[2010/06/03 15:09] URL | みか #- [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2010/06/04 13:21] | # [ 編集 ]


コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する