母は二次元に恋をする
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らいだったりみかだったり

Author:らいだったりみかだったり
ドクターストップかかって現在断酒中。
鎖骨がきれいな眼鏡男子が好き(二次元に限る)。
よく勘違いされるが腐ではない。

好きなゲームはFEシリーズ、英雄伝説シリーズとかなんか色々。
最近は主にコミPo!でマンガ作って遊んでます。



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閃の軌跡



閃の軌跡Ⅱ



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1122の日
いい夫婦の日らしいので、久しぶりに2回目の投稿。

尚也の方書いたので、前回いつの間にか結婚して、娘二人も設けちゃってた義行の方書いてみた。

RPG編はごめんなさい。
全然思いつかず。
誰か続き考えてくれってくらいwww



俺は今年の春に大学を卒業し、この就職氷河期の中かろうじて引っかかった社員数100人いかない程度の中小企業に就職したばかりだった。
弥生は被服系の短大を卒業し、すでに社会人3年目。

去年は、弥生も当然仕事が忙しく、俺もまた、普段の講義とバイトの他に面接やセミナー、会社説明会、資格試験で忙しく、会えない日々が続いていた。
それでも時間を作ってなんとか会っていたが、やはり社会人と学生の差は想像以上に大きかった。
高校からずっと一緒だっただけに、環境の違い、価値観の変化はお互いの気持ちさえも少しずつ離し始めていった。

社会人になり、ようやく弥生と同じ場所に立てたことがうれしかった。
離れてしまった気持ちも、もう一度近づけると思った。
だが、実際には大学時代など比較にならないほどの忙しさだった。
家など週に何回帰れてるだろうか。
同じ家に住んでいるというのに、妹の笑とさえもうずいぶん顔をあわせていない。
弥生に会う時間など、取れるはずもなかった。


久しぶりに1日休みが取れ、ようやくこうやって弥生に会うことができた。
だが、今日休むために、昨夜徹夜で仕事をしていた俺の頭はぼーっとしていた。
双方の家やホテルでは寝てしまうと思い、喫茶店で会うことにしたが、静かな喫茶店の暗い照明は十分に俺の眠気を誘った。
今にも意識を失いそうな俺を、弥生は少し不満げなで苦笑いで見ていた。


「一人暮らしをしようと思うの。」
突然弥生が言った。
「一人暮らし?また急だな。」
俺は眠気覚ましのコーヒーをテーブルに置いた。
「うん。だから今から物件探し付き合って欲しいの。いいかな?」
「物件だったらネットである程度探してからの方がいいんじゃないか?」
「そうみたいだね。会社の人にもそういわれたんだけど、私パソコン持ってないし、よくわかんないから義行に相談しようと思って。」
「ああ。まあ、いいけど。条件は決まってるのか?」
俺は聞いた。
「うん。とりあえず、職場から通勤二時間以内で通えるところで、家賃はできれば5万いかないくらいで。ワンルームは料理しにくそうだからできれば1kか1DKで。お風呂とトイレはできれば別の方がいいけど、無理ならユニットでもいい。日当たりと風通しがよくて雨漏りしてなければ築年数も気にしない。わけあり物件でも全然問題ないからとにかく安いところで・・・・。」
弥生は早口でまくし立てるように言った。
俺は目を見張った。
「ちょ、ちょっと待てよ!!なんだよ二時間って!」
俺はつい大きな声を出してしまった。
静かな店内に俺の声が響いた。
俺は周りを見回し、慌てて声を落とした。
「どうしてわざわざ会社から遠くに引っ越すんだよ。」

弥生の職場まではこの辺からなら徒歩を入れても1時間かからない。
わざわざ遠いところに引っ越すなんて話は聞いたことがない。

「だってこの辺とか、会社の近くはどうしても家賃高いし、治安もあんまりよくないし。遠くても安いところがいいでしょ。」
「そりゃそうだけど、だったら何もそんな急いで一人暮らししなくたって・・・。」
俺は慌てて言った。


今だって家が近いからこうやってほんの少しでも会えるんだ。
遠くに引っ越されてはますます会えなくなってしまう。
もう少し待ってくれれば同棲とかも考えられたが、まだ俺の収入も安定していない。
大体、ようやく試用期間が終わったばかりだ。
この先、ちゃんとこの会社でやっていけるかどうかだってまだわからない。
せめてあと一年待って欲しい。


そう言いかけた俺を、弥生はやけにはっきりした口調でさえぎった。

「お母さんが再婚するの。」
その一言に、俺は口をつぐんだ。


弥生の家の事情は弥生が話したがらないからよく知らない。
だが、弥生は弥生がお母さんと呼ぶ人の前夫の連れ子らしいことはぽつりと聞いた。

お母さんが再婚することで、居心地悪くなることは想像して余りある。


何も言えず固まる俺に、弥生はいつもどおりのやわらかい笑顔で微笑んだ。
「元はといえば、高校卒業してすぐ家を出るつもりだったんだ。でも、お母さんが若い女の子の一人暮らしなんて危ないって言うから、それに甘えさせてもらっちゃって。でも、もう、ちゃんと働いてるし、いい機会だと思うの。それで、引越しの時車出してほしいんだけど、お願いしてもいいかな?」
弥生は早口で言った。

弥生が早口でしゃべるときは精神的に追い詰められているときだ。
5年も付き合っていれば嫌でもそんなことはわかる。


どうして今なんだ。
せめて一年、いや、半年後なら・・・。

俺は何も言えないまま固まってしまった。
眠気はすっかり吹っ飛んでいた。


「な、なあ。そんなに急がなきゃいけないことなのか?」
俺は半ば懇願するように弥生に訴えた。
弥生は困ったような顔をした。
「やっぱりそんな安い物件ないかな?」
「いや、そうじゃなくて・・・。」
口ごもる俺に、弥生は首をかしげた。
「別にこの辺の路線じゃなくてもいいよ。とにかく会社まで二時間以内で行ければ。」
弥生のその一言で、俺は平静を失った。
俺は思わず立ち上がり、弥生に怒鳴りつけた。
「会社から、会社からって、俺はどうなるんだよ!!」
弥生はびくっと肩を震わせ、目を見張った。
「今だって、こんな、月に何回会えるかどうかなのに!弥生は俺と会えなくなってもいいのかよ!!」
「義行。声大きいよ。」
弥生は周りを気にしながら、声を落とし、俺を咎めた。
「今はそんなことどうだっていいだろ!!」
冷静な弥生の態度に俺はますます腹が立った。
「じゃあ、義行、家賃払ってくれる?」
弥生は冗談めかしたような笑顔で言った。
だが、その目はひどく悲しそうだった。
「あ・・・。」
俺はそれ以上何も言えなかった。
それ以上弥生を直視することもできず、そのまま目を伏せ、静かに椅子に座るしかなかった。
「無理でしょ?人のことなんて考えてる余裕なんてないでしょ?私もなのよ。」
弥生は必死でいつもの笑顔を作っていたが、その声は怒りと悲しみが入り混じっていた。
反論の余地さえなかった。

弥生は立ち上がった。
「物件探しは近いうち会社の先輩に付き合ってもらうよ。荷物の整理とかあるから、今日は帰るね。ごめんね。せっかく時間作ってくれたのに。」
弥生はそう言うと、自分の分の金を置いて喫茶店を出て行った。
俺はそのまま、ただうつむいて飲みかけのコーヒーを見つめた。



「20回目。」
対面の席に座っている同期入社の女子社員が笑った。
「え?」
俺は顔を上げた。
「朝からずっとため息ついてる。今ので20回目。」
彼女はくすくすと笑った。
俺は眉を寄せた。

人のため息の数数えてる暇があるなら仕事しろよ。

八つ当たりしたい気持ちをこらえ、俺は苦笑いを浮かべた。
俺はまたため息をついた。
彼女はまたくすくすと笑っていた。
「何か悩み事?人に話すと楽になるかもよ?今日、どっかにご飯食べに行く?」
「いや、仕事たまってるから。そんな時間に帰れないし。」
俺は引きつった笑いで答えた。
「じゃあ、今日一緒にお昼ご飯食べない?近くにランチがおいしいカフェがあるの。」
彼女は明るい顔で言った。

ランチがおいしいカフェより、安くて量が多い定食屋に行きたい。

とはさすがに言えない。
「いや。朝コンビニでおにぎり買ってきたから。」
俺はいつもどおり愛想笑いで彼女に言った。
「じゃあ、私もお弁当買ってくるから、一緒に食べよう。」
「ごめん。昼休みも仕事しないと終電で帰れそうにないんだ。」
俺は彼女を無視するようにテスト結果に目を落とした。
女ってのはどうしてこう一度話しはじめると長いんだ。
ただでさえ集中できないというのに。
俺はイライラを隠すことができず、奥歯を強く噛んだ。


このままでは、弥生と会う時間を作るどころじゃない。
下手すればこのまま会う時間が減り、自然消滅だ。
別れることだけは避けたい。
なんとかちゃんと話をする時間を作らないと。

だが、仕事は後から後からやってくる。


そのとき、携帯が鳴った。
見ると、弥生からのメールだった。

『昼ごはん一緒しない?』

そのメールを読んだ俺は眉をひそめた。
弥生の会社は、ここから二駅のところにある。
遠くはないが、少なくとも昼飯を一緒に食えるほど近くはない。
俺は慌てて返信した。

『今どこ?会社は?』

弥生からの返信はすぐに来た。

『お休み取った。下にいるよ。』

昼休み、できれば仕事したいが、わざわざ来てくれたのに無碍にもできない。
何よりも、会ってちゃんと話がしたかった。

『もうちょっと待ってて。』

俺はそう返信すると、隣の席の同僚に声をかけた。
「なあ。俺のおにぎり買わね?1こ100円でいいから。」
「ん?ああ。別にいいけど。どうした?昼休み仕事するために買っておいたんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったんだけど、なんか彼女が下にいるっつーから一緒に飯食ってくる。」
同僚は目を見張った。
「は?何お前、彼女いたの?」
「おかしいか?」
俺がそう聞くと、同僚は苦笑した。
「いや、そうじゃないけど。お前、女の子に優しいからてっきり女物色中なのかと思った。」
俺は眉をひそめた。
「昔からよく言われるんだけど、俺ってそんな女の子にやさしい?自分では普通だと思うけど。」
「自覚ないのか?」
「うーん。なるべく無難な態度取ってるつもり。正直言うとあんま関わりたくない。」
俺の答えに同僚は苦笑した。

「それにしても、こんな仕事しててよく続いてるな。」
俺は今まさに悩んでいることを突っ込まれ、肩をすくめため息をついた。
「まあな。実際全然会えない。このままじゃまずいとは思ってるんだけど・・・。」
「浮気してるんだろとか言われね?俺、それで最近別れたんだ。」
同僚は眉を寄せ、ため息混じりに言った。
俺は背筋がぞくっとした。
「マジで?」
「ああ。こっちは死に物狂いで働いてるのに、もっと自分との時間を作れとか言われるし。どう考えたって無理だろ?挙句の果てには浮気まで疑われて。こっちも疲れてるからいちいち説明するのも面倒になって。そのままにしてたら浮気されてた。」
同僚は辛そうな顔で苦笑いした
その顔は、ひどく疲れているようだった。
簡単に言っているが、それ以外にも色々あったのだろう。


弥生も、同じように考えているんだろうか。
いや、弥生に限って、まさかそんなこと。
職場だって女ばっかりだって言っていたし、人見知りが激しい弥生が合コンとかに参加するとも思えない。
浮気だけは絶対ありえない。

でも。
もっと頼りがいのある、やさしい男が現れたりしたら・・・。
会う時間が取れない、会っても眠気で上の空の俺に愛想を尽かしてしまったんだとしたら・・・。

今回の引越しは、俺から離れるためじゃないよな?


俺が不安を露にした顔をしているのを察し、同僚は慌てて言った。
「まあ、みんながみんなそんな女ばっかりじゃないだろうし、きっと大丈夫だよ。」
同僚は苦笑いを浮かべた。
人のことなんて気にしていられる精神状態じゃないだろうに。
「ああ、そうだな。ありがとう。」
俺は小さく笑った。


昼休み。
ビルの外に出ると弥生が立っているのが見えた。
遠めに見ても、弥生は目立つほどきれいだと思う。
みんなが弥生を見ているような気さえする。
これは被害妄想というやつなのだろうか。

弥生は俺に気づき、笑顔を見せた。
「ごめんね。急に来て。」
駆け寄った俺に弥生は申し訳なさそうに言った。
「いや、全然・・・。」
俺は小さくつぶやくように言った。
会えてうれしいとか、来てくれてうれしいとか、どうして言えないんだろう。

「よく、ここまで来れたな。」
話をそらすように俺は言った。
駅から5分程度、大通りを一直線で歩けば着く場所ではあるが、付き合って5年も経つのにいまだに俺の家まで一人で来れない弥生がここまでたどり着けたことに驚いた。
「う、うん。ちょっと道に迷ったけど・・・。」
弥生は口篭もった。
どうやらちょっと、ではないようだった。
俺の昼休みに間に合うよう来るために、色々苦労したのだろう。
俺は苦笑した。
でも、それは呆れたとかではなく、純粋にうれしかったからだった。
弥生もそれがわかったのか、同じように笑った。

「飯どうする?」
そう聞いてすぐに俺は失敗したと思った。
弥生がこの辺の店に詳しいわけがない。
だからといって、俺の行きつけの定食屋や牛丼屋ではゆっくり話もできない。
女子社員にランチがおいしいカフェとやらの場所を聞いておけばよかった。

すると弥生は手に持っているバッグを俺に見せるように持ち上げた。
「お弁当、作ってきた。」
「俺の分も?」
「どっかで食べるとお金かかるでしょ?お金使いたくないから。」
弥生はうなずく代わりに微笑んだ。

俺も素直じゃないが、弥生も結構素直じゃない。
俺のために作ってきた、とは間違っても言わない。


俺たちは近くの広場に向かった。
風が冷たかったが、天気がよかったこともあり、近隣に勤めるサラリーマンやOLたちがそれぞれ弁当を食べたり、本を読んだり、昼寝をしたりしている。
かろうじてあいているベンチを見つけ、そこに座ると、弥生は俺との間に弁当を広げた。
派手な見た目ではないが、おいしそうな料理が箱の中に詰まっていた。
弥生は俺に箸を渡した。
俺はそれを受け取ると、弁当に向かって手を合わせた。
「いただきます。」
弥生もまた、弁当にむかって「いただきます」と小さくつぶやくように言った。

弥生の作った料理を口に運ぶ。
さすがに冷めてしまっているが、俺好みの味にしてくれているのがわかる。
弥生は、なんだかんだ言ってもこうやって俺を気遣ってくれる。
その心遣いをしみじみ感じ、さっきまで弥生を疑っていたことを恥ずかしく思った。
「久しぶりに、うまいもの食った気がする。」
俺はぼそっとつぶやいた。
「ほんと?よかった。」
弥生は照れたような顔で微笑んだ。
普段あまり表情を変えないだけに、たまに見せるそんな表情がたまらなくかわいいと思う。


昔みたいに会えなくなって、昔みたいに側にいられなくなって、どんどん遠くなっていくように感じていた。
でも、やっぱり側にいたい。
どこにも行ってほしくない。
今だってこんなに寂しくて辛いのに、これ以上離れたくない。


俺は弥生を見つめた。
それに気づいたのか、弥生は俺の視線からそらすように目を伏せた。
そして、言い辛そうな表情で口を開いた。
「昨日、ごめんね。ひどいこと言って。」
突然謝られ、俺は驚愕した。
どう考えても謝るのは俺のほうだ。
そう言おうとしたが、弥生はそれをさえぎるように俺に笑顔を向けた。
「でも、うれしかった。怒ってくれて。会えなくなるって言ってくれて。高校卒業してからずっと、義行が遠くなっちゃったように感じてたから。」
弥生はやわらかい口調でそう言った。
俺は弥生が同じように思っていてくれたことに少し安心した。
「家から遠くてもいいとか、路線違ってもいいとか言って、本当は義行のこと試してた。少しは寂しいって思って欲しかった。義行に会えなくて、ずっと、寂しかったから・・・。ごめんね。」
弥生は寂しそうに微笑んだ。
「ひょっとして。それ言うために、わざわざ会社休んで来てくれたのか?」
俺は弥生に聞いた。
「有休あまってたし、今日は特に急ぎの仕事がなかったから、最初から休むつもりだったし・・・。」
弥生は照れ笑いを浮かべ、つぶやくように言った。
気を遣わせまいとしているのか、単に素直じゃないのか。
そんな弥生を見て、俺は小さく笑った。
「俺の方こそ、ごめん。弥生の都合も考えないで、自分の意思ばっか押し付けて・・・。」
俺が謝ると、弥生は小さく首を振り、微笑んだ。

俺は弥生の手に触れた。
弥生の手は冷たかった。
俺は弥生の小さな手を包み込むように握った。

「俺も、ずっと寂しかった。本当は。でも、仕事忙しくて、全然時間取れなくて。同僚から、彼女が浮気してたって話聞いて、急に怖くなったりして。もちろん、弥生のこと、信じてるけど。それでも、弥生は、もう俺に愛想着かしたんじゃないかって。だから急に遠くに引っ越すなんて言い出したんじゃないかって・・・。」
俺はそれ以上言えず、俯いた。
弥生は俺の手を握り返した。
「義行が浮気したり、風俗行ったりしない限り愛想つかしたりなんてしないよ。」
弥生はクスクスと笑った。
「さすがに家とか会社から近くは無理だけど、同じ路線で探してみる。少しでも、義行と会いやすいように。無理だったら、私がバイクで義行の家の方までいくから。だから、少しでいいから、会える時間、作ってくれるかな。」
弥生は遠慮気味に言った。
「方向音痴の弥生がそんな遠くに引っ越して、俺の家までバイクで来られるわけないだろ。」
俺は嘲笑するように笑った。
「行けるよ。それくらい。」
弥生はふてくされた顔で俺をにらむと笑った。

強がりな弥生が見せる、寂しそうな笑顔。
俺は胸を締め付けられた。


昔から、弥生は俺を頼らない。
変なことでふてくされるくせに、肝心なことは腹に溜め込んで我慢する。
もっと頼って欲しいのに。
もっとわがまま言って欲しいのに。
そんな悲しい顔をして欲しくないのに。

今までずっと弥生の笑顔に元気付けられてきた。
ずっと弥生の暖かさに甘えてきた。
今度は、俺が弥生を支えてあげたい。
何よりも、弥生が側にいてくれなければ、俺がこの先歩いていくことができない。


「あのさ、もうちょっと待ってくれないか?」
「え?」
「だから、家、探すの。もうちょっと待って欲しいんだ。」
俺がそう言うと、弥生は困った顔をした。
「でも、家は出なきゃいけないし、時間もないし・・・。」
「あのさ、俺、このままならちゃんとボーナス出るみたいなんだ。」
「?・・・うん。」
弥生は怪訝な顔で首をかしげた。
「残業も、休日出勤もかなりしてるし、実家だし、忙しくてここのところ全然金使う暇がないんだ。」
「うん。」
「だから、このままなら、それなりにためられると思うんだ。」
「うん。」
弥生は意味がわからないといった表情で頷いた。
「だから、さ。」

俺は気持ちを落ち着けるために思い切り息を吸い込んだ。
それでも、心臓はどくどくと脈を打ち、顔はどんどん熱くなっていく。

俺は弥生の目を見つめた。
弥生は怪訝な表情で俺を見ていた。
俺は意を決して口を開いた。

「だから、ボーナス入ったら、結婚してほしいんだけど。どうかな。」



俺は自席に戻ると突っ伏して頭を抱えた。

いくらなんでも焦りすぎだっただろうか。
だけど、あんな寂しい顔、もうさせたくない。
他の男に取られるなんてもっと嫌だ。


弥生は唖然とした顔をしていた。
少し、いや、かなり呆れていたような気がする。

「少し・・・考えさせて・・・。」
弥生は困った表情でそう言うと、帰ってしまった。


せめて同棲って言えばよかったのか?
でも、どうせ一緒に住むのなら、ちゃんと家族になりたい。

いや、多分そういう問題じゃない。


「どうした。彼女と仲良く昼飯食ってきたんじゃなかったのか?」
隣の同僚が俺に声をかけた。
「・・・食ってきた。弁当作ってきてくれた。」
「その弁当がまずかったのか?」
「うまかった。久しぶりにまともなもん食った。」
「なんかむかつくな。それでなんで落ち込むことがあるんだよ。」
俺はがばっと顔を上げ、同僚の方を向いた。
同僚は驚いた表情で目を見張った。
「俺だって本当は色々考えてたんだよ!!シチュエーションとか、時期とか、台詞とか!!」
俺は声を荒げた。
「は?」
同僚は何がなんだかわからないという様子で眉をひそめていた。
「なんで金の話しかしないよ。俺・・・。なんだよボーナス入ったらって・・・。」
俺はまた机に突っ伏した。


そのとき、俺の携帯が鳴った。
携帯のサブディスプレイを見ると、弥生からのメールだった。
俺はがばっと起き上がった。
隣の席の同僚は、またびくっと肩を震わせ、目を見張った。
俺はそれには構わず、慌てて携帯を開き、メールを開いた。

何度も何度もそのメールを読み返した。
その度に俺の体から力が抜けていった。


『今日からお互い節約生活だね。お酒我慢してね。』


これは・・・OKの返事ととってもいいんだよな・・・?

「よかった・・・。」
俺は、自然と安堵の笑みが漏れた。


俺はPCに向かうと気合を入れた。
「さて、仕事するぞ!」
隣の同僚はもちろん、周りの奴らも不思議そうに俺を見ていた。
だが、俺はにやけた口元を抑えることができなかった。

俺はもう一度携帯を開き、メールを保護すると、携帯を閉じた。
このメールを見れば、どんなに辛い仕事でもやっていける気がした。

-おわり-

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

なんかね、自分のことだからなのかもしれないけど、尚也から比べ非常に淡々としていると思いました。
ま、この二人の場合、安直に結婚決めたため、こっから苦労することになりますけどね。


似たもの同士に見える義行と尚也の最大の違いとしたら

直情型で作戦は攻めの一手以外存在しない義行。
思慮深く、無駄に考えてしまい行動に起こすのが後手に回る尚也。

ってところだろうなと思います。


予断ですが、義行と尚也はなぜか同じ大学に進学します。
学部は違うけど。
しかも、入学手続きで初めて知るみたいな。
穐田君はのんびりしているようで実はかなりの努力家で、二人の血が沸騰しても入れないような一流大学に進学します。
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コメント
No title
弥生ちゃんとヨシくんのお話、読ませていただき、ありがとうございます!
なんか、現実にありそうな感じですね。
ヨシくんの即断即決?は、カッコいい!
でも、プロポーズなんて、案外、こういうもんですよねw
その後のヨシくんがまたカワイイですねー。
きっと、私の方は、こんな感じにならないような気がするので、
ちょっとうらやましいです(苦笑)

(RPG編、間があいちゃうと、大変ですかー。気長に待ちますw
また、おしゃべりして、いいアイディアが浮かぶといいのですが・・・)
[2010/11/24 00:41] URL | みぃ #- [ 編集 ]

>みぃさん
およみいただきありがとうございました。
自分のがまさにこんな感じなんですよ。
いや、もっとひどかったです。ええ。
旦那も私も金の話しかしてなかった。
っつーか私酔っ払ってたし。
付き合って1週間とかだったから、普通に冗談だと思ってたし。

義行はお馬鹿さんなので、悩むのとか苦手なんです。
長い時間同じこと考えてられないんです。
だから何もかもにおいて即断即決です。
だから、周りから「男前」とか言われますが、単に考えたくない、かといって投げるわけにもいかないってだけ。
だから、こんなかんじで後で凹むこともしばしば・・・。

RPG編。
もう、頭からすっぽ抜けてる感じです・・・。
誰かとお話したり、ネタ出してもらえたらちょっと違うかもしれませんが・・・。
どうかなあ・・・。
[2010/11/24 08:13] URL | みか #- [ 編集 ]


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